ほんのりとした湖畔キャンプがしたくなり、裏磐梯へ行ってきました。
なにが『ほんのり』なのかは自分でもよく分かりませんけど。
裏磐梯には【ほとりの遊び場キャンプ場】とか【早稲沢浜キャンプ場】とか、『これぞTHE湖畔!』と言えるような場所があるんですが、今回はちょっと違う気分。
そんながっつり怒涛の湖畔じゃなくて、なんとなく湖畔を味わいたい。
そこで選んだのは【曽原湖キャンプ場】。はじめての訪問です。
結果的には『ほんのり』もどこへやら。
テントの目の前に湖面が広がる『がっつりとした湖畔キャンプ』になってしまったんですが、満喫できたのでOKです。
とても良いキャンプでした。
曽原湖キャンプ場で絶景がっつり湖畔ソロ
9月末、裏磐梯。
日中の暑さはすっかり落ち着きをみせています。
もうTシャツ1枚の季節は終わり。
けれどまだ紅葉は始まらないし、設営してれば汗も出る。
依然として冷えたアイスコーヒーが美味い。
そんな時期。
向かったのは曽原湖キャンプ場。
利用したことはありませんでしたが、道すがら眺めたりして「良さそうだなぁ」とは思っていたんですよ、ここ。
裏磐梯の中ではリーズナブルな方だし、道路沿いなものの、場所的に人通りも少ない。
湖面も見える。
ただ今までは、猪苗代湖や沼沢湖という、安くて静かでがっつり湖を堪能できる場所が身近にあったので、ここを利用するまでには至らなかったのです。
けれど今回は違います。
なぜならば、がっつりした湖畔ではなく、なんとなくの軽い湖畔が味わいたいって、よく分からないけど明確なコンセプトがありますから。
そう思ったとき、頭に浮かんだのが【曽原湖キャンプ場】。
と言うのも、曽原湖キャンプ場には湖すぐそばのサイトの他に、道路やコテージ越しに湖を眺めるロケーションの場所もある。
この『湖面がチラリと見える』という部分が肝心。
湖がけっして主役ではなく、『風景の中に程よく溶け込む』程度の存在になること。
それこそが、思い描いた『ほんのりとした湖畔キャンプ』。
言うなれば、湖一辺倒の独奏ではなく、辺りの景観を含めた合奏が聴きたい気分だったのです。
・・・だったのです、が。
場内を見せてもらったら、目の前に湖が広がる特等席が空いているではありませんか。
その眺めの素晴らしいこと!
地面は芝生ではなく砂利だけど、今回はチェア&コットだから問題ない。
客は他に誰もおらず、受付のオーナーご夫婦は「どこでも好きなとこでいいよ」と言ってくれてます。
3秒ほど考えて、当初の『ほんのり』はあっさり却下。
がっつり湖畔に切り替えました。
目の前には、湖面がちゃぷりちゃぷりと穏やかに揺れています。
その距離、テントからわずか数歩。
曽原湖はエンジンの付いたボートは利用できないので、とても静か。
水辺はのどかで、これぞ高原の湖といった雰囲気が漂う。
ああ、がっつり湖畔にして良かったw
『パン工房ささき亭』が近くて嬉しい!
パン工房ささき亭は、裏磐梯では有名な美味しいパン屋さん。
曽原湖キャンプ時は嬉しいことに、ささき亭がとても近い。
なので「お昼ゴハンに食べるんだ!」と決めていました。
数年ぶりになるから、とっても楽しみです。
設営後ひと息ついて、さっそく向かいました。
テイクアウトで買ってきたのは、クロックムッシュと田舎パンのサンドイッチ。
クロックムッシュはオーブンで温めてくれました。
車ならあっという間の距離なので、テントに戻ってもチーズは柔らかいままです。
デミタスカップにアイスコーヒーを注いで、ぶ厚いパンをガブリと頬張る。
熱々のチーズとハーブの豊潤な香りが口いっぱいに広がって、う~ん、たまらない!
それが次の瞬間には、高原の風が運んでくる、湖の澄んだ冷たい空気と身体の中で混じりあって、さらに美味しい。
この相乗効果が外ゴハンの醍醐味だよなぁ。
田舎パンのサンドイッチも当然、美味。
具材ももちろんなんだけど、とくにベースとなるパン生地そのものがすごく美味しい。
まだ設営しかしてないけど、「なんかもう、このまま帰っちゃってもいいなぁ」って思うくらい、満足したキャンプ飯でした。
遭遇
いつものドームタイプと違い、今回はティピー+コットだから、テント内のスペースはじゅうぶん。
だから寛ぎのスペースも、タープ下ではなく、テントの中。
前面のドアをがばっと開いてやれば閉塞感などまるでなく、それでも他3方は囲まれた空間なので、自分が知覚できるのは、眼前に横たわる穏やかな湖の揺らぎだけ。
それをぼーっと眺めながら、心の中で声をあげる。
「がっつり湖畔にしてよかったーーー!」と。w
自分のテントサイトから少し離れた隣には、よく手入れされた芝生のスペースが広がっています。
小さなコテージが点在して、その向こうに湖を望むこのエリアが、ぼくが最初に思い描いていた「ほんのり湖畔キャンプ」の場所。
ここはここで悪くないんですよ。
むしろ、とっても良いです。
コテージや木々越しに見る湖面もまた、趣きがあってよし。
でも今回、直感に従って「がっつり湖畔」に変更した選択は正しい。
お籠りから一変、テントを全開。
とたん、開け放った空間に湖水の冷気を帯びた空気がなだれ込み、吹き抜ける。
その風を身に受けた刹那、静から動へ、一気に跳躍したような感覚に包まれた。
一瞬で、ぼくの身体と脳は選択の正しさを確信する。
すんごく気持ち良いーーー!w
風が抜けたすぐあとに、後ろからポスン・・ポスン・・と物音がする。
振り返って近寄くと、ごつごつとした大きな木が、ふかふかの絨毯みたいな苔の上にドングリを降らせた音でした。
葉の隙間を抜けて届いた陽が、荒々しい木肌を撫でるように、柔らかに照らす。
その柔剛が入り混じったテクスチャは複雑だけど、手を添え、触れてみた印象はひどくシンプル。
ただただ、生命力にあふれてる。
掌から使わる力強さと、頭上からポスンポスンと落ちてくるドングリ。
自然のサイクルを実感して、なんとも感慨深い。
木に手をやりながらひとり悦に入っていると、視界の端っこに違和感が。
小指側のとなり10cmくらいで、何やらもぞもぞ動いている。
「なんだろ?」
と、よく見たら、木肌に同化するような、灰色のツンツンした大きな毛虫。
びっっっくりだよもう!
木の上を目指し、一心不乱に登っていきます。
彼もまた、生命力にあふれてるw
初めての場所でも変わらずに
薄雲が伸びて、ほどよく晴れた空の下。
暑くもなく寒くもなく、キャンプするには絶好の日和。
普段の通り、ただただ本を読んでるだけなんだけど、場所が変われば目に映る景色も変わって、気分も変わる。
裏磐梯での定宿『みちのくキャンプ場』からは、湖ひとつ隔てただけで、距離的にはそれほど離れてないはず。
なのに、漂う空気感や、風の運ぶ匂い、木々のざわめく音なんかも、微妙に違う。
はじめてのキャンプ場は、やっぱり新鮮。
ぼくのキャンプは何もせず、のんびり過ごすのが目的。
だからこそ、いつもの場所の変わらない安心感はありがたい。
けど、こうして初めて場所の刺激に身を浸してみると、その安心感のなかにもどこかマンネリを感じていたんだなぁ・・・ってのがよく分かる。
だって今回、時間の経つのが早いこと。
もう夕暮れがやってきた。
本読んで、コーヒー飲んで、毛虫にびっくりした以外、なんにもしてねぇよ・・・って思ったけど、考えてみたらいつも通りw
場所は変わってもやることは一緒、さぁ酒だ。
夕暮れの湖畔に魅入る
陽も傾いて涼しくなってきたけれど、寒さを感じるほどじゃない。
上着を羽織ればいい程度。
なので焚火は無しにしました。
以前は「焚火が無いキャンプは物足りないかな?」と思っていたもんですが、最近はアルストがあればそうでもない。
卓上で揺れる小さな炎が、けっこう満足させてくれます。
時間の経過とともに、刻々と色彩を変える湖面を眺めながら、のんびり飲む。
客は、道路を挟んだ側のサイトに一組。
こちらの側の湖畔サイトには、自分ひとり。
完ソロみたいなもんです。
魚が虫を狙って跳ねる「ぱしゃん!」って音が、湖のあちらこちらで、微かな響きを上げている。
目を凝らすと、暗く鈍く、紫の光を写す水面から、流線形のシルエットが時々シュッと飛び出すのが見える。
あれが魚かな?
流れ出した墨汁が弧を描くみたいにして、シルエットはまたすぐ暗い水面に吸い込まれていく。
生きるため一時でも重力を振り切ろうとするその姿は、果敢ですごく力強くて、魅入ってしまう。
後ろからは、時々落ちてくるどんぐりの、相変わらずのポスンって音。
どちらも等しく生存の音色なのだけど、その落差がちょっと可笑しい。
湖畔の青い朝
今回のテントは、TCティピーのアースピノマッド。
ナイロンに比べぶ厚いポリコットンの生地は、夜明け前のか弱い光など通さない。
通さないんだけど、そんなことはお構いなしに、アラフィフの目は覚める。
コレが加齢か?加齢のせいなのか?
でもね、そのおかげで見られる景色もあるわけです。
テントを出れば、一面の青い世界。
すごく綺麗で、心奪われてしまう。
魂を引っ込ぬかれてしまいそうな、ちょっと怖いくらいの美しさ。
湖畔キャンプの醍醐味を凝縮したような朝でした。
まとめ
あとは適当に朝食とって、パッと撤収して帰りました。
いつもの「みちのくキャンプ場」と違って、明確なチェックアウト時間がありましたから。
いやまぁ、それが普通なんですけどねw
日が昇ると青い世界は消え去って、普通の湖畔になりました。
じゅうぶん綺麗なんですが、あの青を見た後だと、なんだか物足りない風景に感じてしまいます。
それだけ魅力的な、夜明け前の曽原湖でした。
今回設営した場所は、眼前に湖を望む、まさに特等席といった感じの場所。
ただそれほど広くはないから、どちらかと言えばソロ向きです。
地面は大粒の砂利があるので、地べたスタイルは厳しいでしょう。
ソロでの利用料金は以下。
入場料 | 600円 |
テントスペース(1~2人用) | 1000円 |
駐車代 | 1000円 |
合計 | 2600円 |
ここにタープを張ると追加で1000円。
裏磐梯では安いほうですが、無料でOKな猪苗代湖が近くにあるので、正直、個人的にお得感はそれほど感じません。
それでも、だだっ広い猪苗代湖とはまた違った雰囲気で、高原の湖って感じは抜群にしますから、こちらはこちらで良い場所です。
設備は簡素でやりすぎ感がなく、清掃が行き届いてきれい。
素朴で静かな、昔ながらのキャンプ場といった趣でした。
終わり。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
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