繰り返し何度も使えるハクキンカイロ。
すごい熱量で使い捨てより断然あたたかく、長時間持続します。
それらの特徴からキャンプとの相性は抜群に良く、自分的には、もはや欠かすことのできない相棒です。
凍える氷点下の1日。
肌冷えする早朝の、青白いブルーモーメントの中。
さまざまなシーンで頼りにしてきました。
そうして愛用してきたハクキンカイロのなかでも、もっともキャンプに相応しいと言えるのは『ジャイアント』。
その印象は、まさに最強の携帯暖房とも呼ぶべきものでした。
ハクキンカイロはずっと使える
ハクキンカイロは、繰り返し何度も使えるカイロです。
使い捨てではありません。
それでいて使い捨てよりずっと温かく、かつ長時間持続します。
って思いますよね?
あるんですよ、これが。
その正体は『燃料式のカイロ』。
ハクキンカイロ株式会社が、100年も前から販売している逸品です。
燃料式で何度も使える
ハクキンカイロの燃料はベンジン。
ベンジンは原油から作られる揮発性の高い可燃性の液体でガソリンの1種。主な用途はカイロの燃料、染み抜きなど。(染み抜き用のものはカイロには使用不可)
【NTベンジン】と【エビスベンジン】が公式に指定されています。
ベンジンはとても燃えやすい液体です。なんせガソリンの1種ですから。
「なるほど、ガソリンを使っているなら温かいわけだ」
と思ってしまいがちですが、燃焼させているわけではありません。
ハクキンカイロが温かくなる理由は化学反応。
ベンジンの気化ガスと、触媒のプラチナが接触しておこる『酸化熱』を利用しています。
ちなみに、使い捨てカイロが温かいのも同じ酸化熱で、こちらは鉄と酸素の化学反応です。
素材こそ違いますがどちらも燃えているわけではなく、化学反応の熱で温かくなるという点で、じつは似たもの同士だったりします。
ベンジン1本(500ml)で480時間!
燃料であるベンジンはネットショップの他、ホームセンターやドラッグストアで普通に売っています。
ぼくがよく使うNTベンジンは、容量500mlでお値段はだいたい700~800円。
ハクキンカイロは、このベンジン25ccで最大約24時間使えます。
500mlに換算すると、なんと480時間も使える計算です。
なにそれスゴイ!
ハクキンの利点はコスパじゃない
燃料1本で480時間って、なんてすごいの!
と、本来なら大いに興奮し盛り上がるところですが、ちょっと待って。
じつは、使い捨てカイロとそんなに違わないんですよ。
たとえばこちら。
12時間つかえる使い捨てカイロ30枚。アマゾンだと1枚当たりの単価は21円。(執筆時)
これを480時間分にすると、840円。
そう。
コスパという面では、使い捨てもハクキンもそれほどの差はないのです。
ぼくも計算してみて、ちょっと愕然としました。
なんてことだ。世界の隠された真実をまたひとつ、知ってしまった気分です。
しかし大丈夫。
キャンプにおけるハクキンカイロの『真の利点』はコスパではなく、
- 圧倒的な熱量
- 長時間温かい
- 繰り返し使える
の3点です。
ハクキンカイロの特徴
圧倒的な熱量
ハクキンカイロはとにかく温かい!
その圧倒的な熱量は、使い捨ての約13倍にもなります。
さらに、気温が氷点下になっても変わらず高温を維持できるのが素晴らしい。
使い捨てカイロは氷点下の外気に触れていると発熱しなくなります。(ずっと服の中なら大丈夫)
なので、『ハクキンを握って冷えた指先を温める』なんて使い方も可能なのです。
使い捨てカイロでは代わりになりません。
実際、2月のキャンプで迎えた-18℃の朝、使い捨てカイロは沈黙していましたが、ハクキンカイロは変わらず熱々でした。
公式情報によると、-40℃以下でも使えるそうです。
どんな環境でも熱々。
この圧倒的なパワーが、寒いキャンプでは本当にありがたい。
長時間使える
ハクキンカイロは使用できる時間が長く、キャンプ始めから終わりまでずっと温かいまま。
- ミニ : 18時間
- スタンダード : 24時間
- ジャイアント : 30時間
※火口の状態や環境により若干変わります。
冬キャンプだと昼間からずっと氷点下って日もありますから、【日中使い始め、夜は寝袋の中に入れ、朝もまだ温かい】と、1回で長く使えるのは助かります。
ハカクキンカイロなら、「いつの間にか冷たくなってる!」なんて事態に絶望する夜も訪れません。
長時間に渡ってずっと温かいのは、『どんな寒い日でもオレにまかせとけ!』って言われているみたいで、すごく頼りになります。
また、ベンジンの量で使用時間を調整できるのも、デイキャンプなどで無駄なく使える大きな利点。
消耗品交換でずっと使える
ハクキンカイロは使い捨てではなく、繰り返しずっと使っていけます。
消耗品を交換していれば、それこそ半永久的に機能する道具です。
すごいですよね。
繰り返し使えることで、環境にやさしいとかエコだとか、ゴミがでないとか、地球にとってたくさんの利点があります。
今風に言うところの『SDGs』ってやつですね。ハクキンで自身は温まりつつも、地球が熱くなるのは防げるわけです。
が・・・、
個人的にはぶっちゃけそんなのどうでも良い。
いや良くはないけど、そういう理由はほどほどで結構。
ぼく的に思う繰り返し使えるメリットは『愛着がわく』です。
レトロな金属製のボディは使いこむほど馴染んでいき、単なる道具ではなく、欠かすことのできない『ギア』となっていく。
お気に入りのランタンとか鉄フライパンみたいな、ず~っと使える相棒のような『キャンプギア』。
ハクキンカイロには、そういう魅力があるのです。
火口と中綿は消耗品
ただ、ずっと使い続けるためには、定期的なメンテナンスが必要。
具体的には消耗品の交換です。
そのパーツは火口と中綿の2つ。
どちらも、ある程度使用すると性能が落ち、使用時間が短くなってきます。
交換目安は
- 火口 : 1~2シーズン
- 中綿 : 5~10年(ベンジンがしみこまなくなった時)
となっています。
火口は新しいモノを購入し、付け替えるだけ。
規格は初期型から変わっておらず、ずっと同じです。
火口のサイズは2種。スタンダードとミニは共通、ジャイアントは別です。
中綿は、最大容量(スタンダードならカップ2杯)のベンジンを入れ、逆さにして搾ったときにベンジンが出てくるようなら寿命。
指定以外の燃料を使っていると、この寿命が短くなるそうです。
中綿交換はメーカー依頼も可能で、公式オンラインショップに案内があります。(リンク先はハクキンカイロSTANDARDの中綿です)
永久保証もありますから、文字通り、ずっと使える道具です。
欠点
キャンプで使う場合、人によってはデメリットとなる部分も多少あります。
- すこし臭いがする
- 手間がかかる
- 火を使う以上、完全に安全とはいいきれない
など。
臭いに関しては、かすかにガソリン臭がします。
普段は気になるほどではありませんが、寝袋の中に入れると分かりやすいです。
ちなみに、ぼくはまったく気になりません。
使用前の注油も、使い捨てにはない手間。
でも慣れれば1分で終わりますし、たいした手間でもありません。
むしろギア感があって好きです。
アルストを好んで使うキャンパーなら、きっと理解できる感覚なはず(笑)
燃焼しているわけではない、とは言え、一瞬でも火を使うことに変わりはありません。
さらに、燃えやすいベンジンも使用しています。
ですので、横着せず、きっちり手順を守って使うのが肝心。
と、いくつか挙げてみましたが、正直、個人的にはどれもデメリットとは感じていません。
だって、完全に完璧な道具なんて存在しませんからね。
キャンプにはジャイアントが良い!
ハクキンカイロは【ミニ・スタンダード・ジャイアント】の全3サイズ。
サイズ(mm) | 最大使用時間(約) | |
ミニ | 58×87×13.5 | 18時間(1.5カップ) |
スタンダード | 68×101×15 | 24時間(2カップ) |
ジャイアント | 70×110×20 | 30時間(4カップ) |
ぼくは全サイズ使ったところ、キャンプにはジャイアントが一番でした。
その理由は、ジャイアントが【もっとも温かく、もっとも長く使え、それほど大きくもない】から。
オートキャンプでもバックパックでも、ジャイアントさえ持っとけば間違いないです。
ただ、お値段も一番なのが悩みどころ。
ですが大丈夫。一度買えばず~~~っと使えますから!
ジャイアントは公式サイト専売です。
ぼくは現在、スタンダードは手放して、ミニとジャイアントの2台体制です
ジャイアントは温かい!
どのサイズも仕組みは一緒なので、温度は変わらないはず。
ですが、ジャイアントは表面積が大きいからなのか、より温かく感じます。
当てた部位だけじゃなく、その周辺までぽかぽかしてくるほど。
他サイズとくらべ、パワフルに体を温めてくれます。
じっとしている時間の長いキャンプは、釣りと並んで、寒さに晒される宿命を持つ遊び。
より温かいのは大正義!
もっとも長時間!
最大使用が30時間と、ジャイアントはもっとも長く使えます。
1泊のキャンプなら、最初から最後までずっと温かいまま。
ミニやスタンダードだと、火口の状態によってはキャンプ中で冷たくなってしまう場面もあったのですが、ジャイアントは大丈夫。
なんの心配もなく頼りにできます。
長く寒い夜、ぬくもりの喪失に怯えなくてすむのは、世紀末救世主なみの頼もしさ!
大きすぎない絶妙サイズ!
『ジャイアント』なんて名前だから、どれだけ大きいのかと思いがちですが、実はそれほどでもありません。
レギュラーサイズの使い捨てカイロより、一回り小さいほどです。
厚みこそありますが、それでも2cmなので、問題なくポケットに入るくらいのサイズ感。
取り回しで悩むことは、まずありませんよ。
それに、キャンプはそれほど動き回らないですからね。
『移動は常に全力疾走!』みたいなアグレッシブ系キャンパーでもない限り、ジャイアントでも邪魔にはなりません。
ハクキンカイロの使い方
『燃焼しているわけではない』とは言っても、燃えやすい液体と炎を使っていることに変わりはありません。
しっかりと手順を守るのが肝心です。
手順
1・火口を取り外す
火口の金属部分を持って、本体から取り外す。
プラチナ触媒には直接触れないよう注意
2・注油カップを使ってカイロにベンジンを注ぐ
カイロに注油カップの底部を挿入し、ベンジンをカップの線まで注ぐ。
注ぐ量は、使用したい時間によって調整してください。
カップ1杯で約12時間、2杯で約24時間使えます。
絶対に規定以上の量を入れないでください。
3・注油カップを回転させカイロにベンジンを注ぐ
注油カップを90度回転させると、ベンジンがカイロ内に注入されます。
4・本体を逆さまにして中央をかるく押す
注油カップを外し、カイロ本体を逆さまにする。
中央を軽く押して、余分なベンジンが出ないか確認する。
その際、カイロの外側にベンジンが付いていたら拭きとって下さい。
ベンジンの入れすぎは発火につながるので確実に確認しましょう。
5・火口をはめて、炎を上からプラチナ触媒に当てる
火口をはめカイロを立てて持ち、マッチかライターの炎を上から3~5秒プラチナ触媒に当てます。
燃焼させるわけではなく、化学反応が起こる温度まで温めるのが目的なので、炎を当てすぎないように。
カイロを逆さまにして点火すると、火口の痛みがはやくなります。
6・付属のフリース袋に入れて使う
表面温度は60℃くらいになります。
そのままではかなり熱いので、付属のフリース袋に入れて使います。
低温やけどに注意しましょう。
低温やけどは、44℃~50℃前後のものに皮膚が直接、数分~数時間にわたって触れ続けることで起こります。
血管を温めろ!
金属ボディのハクキンカイロは、柔らかな使い捨てカイロと違い『身体のあちこちに張り付ける』というワケにはいきません。
使い方としては、血管の多く通る場所に当て、温まった血液を体全体に循環させて暖を取ります。
具体的には
- 首のうしろ
- 丹田(お腹)
- 背中
- 腰
この辺りが効果的。
ぼくはいつも、背中(肩甲骨のあたり)にハクキンカイロを当てています。
そのためカイロベルトが必要になるので、別途購入するのがオススメです。
カイロベルトは必須
貼れないカイロを入れて体に固定するための道具、カイロベルト。
ハクキンを使うには必須となります。
ぼくが愛用しているのは『暖か朗Ⅱ』
これで肩甲骨のあいだを温めると効果抜群!凝りにも効果があって、気持ち良いですよ。
カイロベルトとしてはお値段高めですが、その分しっかりしていて使いやすい商品です。
他にはこちら
腹や背中を温めるなら、こういうベルトタイプを使います。
ただ、ベルト部分が細すぎて、使っているうちズレてくるのが欠点。
ベンジン以外の燃料について
ベンジン以外にも、Zippoオイルとホワイトガソリンが燃料として使用可能です。
公式HPや説明書には書かれていませんが、英語版HPに記載があります。
ハクキンカイロ(株)に問い合わせをしたところ、
- ハクキンカイロ指定ベンジンは輸出していないため、より成分の近いZippoオイルを勧めている
- Zippoオイルも入手できない場合は、ホワイトガソリンを使ってもらうよう案内している
とのことでした。
Zippoオイルとホワイトガソリンを使用することは確かに可能ですが、やはり【NTベンジン】か【エビスベンジン】を使うのがベストです。
まとめ
なぜこの時期(4月)にカイロの記事なのか?
それは、冬のあいだ存分に使って、経験値がたまった末のレビューだからです。
文字通り、使い倒してきましたよ。
本当に暖かく過ごしたいなら、電源サイトにこたつでも持ち込んで、みかんと共にぬくぬくとしていれば良いのです。
でも、ファミキャンならともかく、それをソロでやる人ってあまりいませんよね。
それはそれで楽しそうだな、っては思うけど。
キャンプには雰囲気とか気分とかギア感とか、味わう要素がいろいろあるので、キャンプTPO的にこたつはどうなの?ってところなのでしょう。
そこへいくと、ハクキンカイロは実用性とキャンプTPO的にバッチリなわけですよ。
これから暖かくなってきて、カイロの出番はなくなります。
けれど!
冬系の道具を準備するならまさに今。シーズンオフが狙い目です。
在庫もあるし、値引きもある。
暖かな季節の到来を楽しみつつ、次の冬に向け準備を進めるのが、冬大好きキャンパーの有り様です(笑)
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