1月下旬。
『1日を通して良く晴れるけど、夜半から厳しく冷える』との予報が出た日。
冬の澄んだ星空とダイヤモンドダストを目的に、いつもの裏磐梯『みちのくキャンプ場』へ行ってきました。
ダイヤモンドダストとは、大気中の水蒸気が凍結してできた氷の結晶が太陽光を反射して輝く自然現象。別名「天使のささやき」。
※AIによる概要
まぁ、ダイヤモンドダストのほうは目的と言うか、希望なんですけどね。
見れたらいいなぁって。
ダイヤモンドダストが現れるには、だいたい『−10℃以下かつ風のない快晴』という条件が必要なのですが、今回は放射冷却で冷え込みそうだから期待が持てます。

ちなみに、裏磐梯だと−10℃以下まで冷えるのは珍しくない。
でもちょうどキャンプのときにこれらの条件がそろうのはなかなか無くて、ぼくは「シーズン中1回見れるかどうか?」ってところ。
暖冬だった昨シーズンはまったく見られませんでしたから、ちょっと楽しみです。
冬晴れの裏磐梯で星見のキャンプを
夜空を楽しむために今回はいつもの定位置を離れ、より空が広く見える場所をキャンプ地としました。
このあたりは風がよく抜けて寒いけど、そのかわり解放感が素晴らしい。
同じキャンプ場でも視界に写る景色が少し変わっただで、なんだか新鮮な気分です。

低い冬の太陽から日差しが静かに降り注ぐ。
最高に心地よいものの、その陽光に冷気を払うほどの力はないらしい。
天気は良いけど気温は低くて、たまらず上着のフードをスポッと被る。
なにしろ、冷たい風に叩かれて頬が痛い。
その痛みが引く前にまた次の風がやってきて、エンドレスで痛いから困る。
体感温度は-5℃以下。
さっさと風除けのタープを張ろう。

こうやってその時その時の条件にあわせ、テントの位置とか向きとか、タープの張り方とか、あれこれ考えるのはけっこう楽しい。
とくに冬だと雪もあるから、掘ったり積んだり、いろいろ出来て面白いのです。

ようやく設営を終えて腰を下ろし、「ふぅ」とひと息。
空を仰ぐと、ちょうど正面に来た太陽がタープの中を照らしています。
ふふ、計算どおり。
風の届かないタープ下の小さな空間は、陽の光をため込んで、ぽかぽかと心地よい暖かさ。
オアシスのごとき快適空間です。
そこに暖かなご飯が加われば、もう言うことはありません。

なんか分らん脳汁があふれ出すほど、熱々の肉まんが最っ高に美味しかった昼下がりでした。
冷たい風をなんとかしたい
いつものように冬空の下で読書しようとしたものの、タープの外は風が吹き抜け、寒くて仕方がない。
ページをめくるたびビューッって吹く。
嫌がらせかっ!?
って、たまらず思ってしまうけれど、それではたんなるクレーマーと一緒だ。
なんとか工夫で対処しよう。
ということで、穴を掘って下半身を、雪を積み上げて上半身をそれぞれカバー。

これだけでも全然違う。
落ち着いて読める環境が整いました。
暖かい飲み物も用意して快適快適♪
さすがサーモス、熱々だぜ。

雪壁からわずかに突き出した帽子の先が空気の流れを受けて、まるで猫のヒゲのように、風の強さや向きといった情報をぼくの身体に伝えてきます。
それによると、けっこう吹いてるっぽい。
空を見上げると、たしかに、雲の動きが速い。
こりゃあ寒いわけだ。
でも、寒ければ寒いほど、なんだか楽しくなってくる。
冬キャンプの魅力は不思議w

星空とダイヤモンドダスト
夕食は鍋と、レトルトのエビチリ。
エビチリに炒めた野菜を加え、そこへ酒のツマミに持ってきたピーナッツ入れてみたら、抜群に美味いのが出来上がった。

唐突な思い付きだったけど、大成功。
なんでも試してみるものですね。
ビールがすいすい進みます。
やがて夜は更けていき、風もピタリと止みました。
雲一つない絶好の星見日和です。
完ソロの場内がすっぽり闇に覆われると、頭上には期待通りの、満点の星空が現れました。

こんな星空を見たのはいつぶりだろう?ってくらい、大小たくさんの光が瞬いています。
天の川も肉眼で見える。

場所を変えて、視点を変えて、夢中で見上げているときに、ふと気づきました。
ヘッドライトを点けるたび、視界のなかでキラキラしたものが舞ってることに。
ダイヤモンドダストです。
気温を見たら、いつのまにか−10℃まで下がってる。
風もありませんから、たしかにダイヤモンドダストが出ても不思議はない。
でも辺りを照らす陽の光がないので、見えるのはライトの明かりが当たった部分だけ。
一面キラキラとはなりません。
ちょっと残念だけど、それは朝に楽しめばいいや。
そう思いながら何となくライトのスイッチを強にしてみたら、暗闇の中にまっすぐ伸びるLEDの明かりに沿って、ダイヤモンドダストが光の帯のように見えるではありませんか。
まるで天の川のミニチュアみたいだ。
朝日に照らされた一面のキラキラも良いけれど、こんなダイヤモンドダストも悪くない。
こういうのに出会えるから、冬のキャンプの寒さは好き。

朝。
目を覚まして気温を確認すると、約−15℃の表示。
うん、なかなかの冷えっぷりです。

テント内をバーナーで暖めてからガバっと寝袋を出て、装備を整えさっそく外へ。
朝日に照らされた一面キラキラのダイヤモンドダスト、見れるかな?

・・・見れなかった。曇ってやがるよ。

気温はがっつり低いし、風もないのに、陽の光だけが足りません。
期待が大きかっただけにガックリと肩を落とすぼくを、静かな冬の朝は冷たく突き放すだけ。

けれど、そんなつれない自然の有り様が、気持ちをスパッと切り替えるのを後押ししてくれる。
夜に見たから、まぁいいか。
とりあえず、お茶にしよう。

極寒冷地用のOD缶ガスが冷気をものともせずゴオッと勢いよく炎を上げ、あっという間にお湯が沸きました。
タープ下の空間もすこし暖かくなって、空気がほんのり柔らかくなったように感じます。

お湯を注ぎ、湯気に混じったカフェオレの甘い匂いが漂うと、冬の朝のピンとした緊張感は途端にゆるっと弛緩して、どこかへ消え去ってしまいました。
この一瞬の対比がなんだか可笑しくて、好き。

あとは軽く朝食をとって帰るだけ。
今回も、よ~く冷えた楽しいキャンプでした。
まとめ
べつに寒いのは好きじゃないのに、冬キャンプでは寒ければ寒いほどテンションが上がる。
たぶん、寒さは冬キャンプを盛り上げるアトラクションのようなものなのかなって思っています。
「おおっ、こんなに下がった!」みたいな?
もちろん、ジェットコースターに安全装置があるように、寒さに対して万全の準備はしていますよ。
ぼくの場合、暖房がなくても外気温−20℃くらいなら、テント内で寝袋に入っていれば死なない装備はあります。

それともうひとつ。
冷え込んだ時の冬キャンプの夜って、昼間とは違う独特の緊張感がある気がするんです。
昼と夜がシームレスじゃないっていうか、別の世界みたいな?
例えるならば、12月31日、ゆく年くる年を見ながら息を呑んで年明けを待つ瞬間と、除夜の鐘がゴ~ンとなったときの、ぱあっと空気が軽くなるような解放感。
たしか『ちびまる子ちゃん』の漫画にそんな描写があったと思うけど、まさにそれ。
冬ソロキャンプの夜と昼にはそんな感覚があって、寒ければ寒いほど、その対比がより鮮明になる。
ぼくはそんな気がしていて、他の季節では感じられないその独特の感覚が、冬キャンプの好きな理由の第2位。
ちなみに、第1位はもちろん、人が居ないからw
はい、生粋のぼっちです。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
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